おバカ社員奮闘記 地区長編⑦

メーカーを回り、物乞いをする

西友新小岩店が地域の再開発のため閉店することになりました。西友サービス課の担当係長から
閉店セールに協力してくれるよう申し入れがありました。
ミニラボが入っていたので、写真の安売りは出来ません。

物販といっても不良在庫を抱えてあるわけではないので、処分セールも不可能です。
私はK役員に相談し、地区内の余剰在庫を集めて閉店セールをすることにしましたが、原価割れで
販売したら赤字になってしまいます。

また閉店セールは1か月の長期にわたり、地区の商品だけではとても足りません。
そこで役員の許可を得て
関東の地区から商品を集めることにしました。セール品は20%の利益を取れるよう価格変更伝票を切り、
本社に補填を入れてもらうことになりました。もちろんこれも役員の了承を得ました。

毎週水曜日に行われる営業会議では社長、各役員、各部長、各マネージャーを前に、私は閉店セールへの
協力をお願いしました。

他地区の店舗からは次々と不良在庫が送られてきました。古いアルバムやフレームのほか商品部が各店に
送り込んだキーチェーン付きのミニゲーム機も大量にありました。

私は閉店セール最後の1週間は毎日、新小岩へ通い、頻繁に店内放送をしてお客様を呼び込み、1つの商品
も残さない覚悟で売りまくりました。それでも膨大な商品すべてはさばき切れず、残りは西千葉店へ発送して
催事で売ることにしました。終了後、伝票を役員に送り処理は完了しました。

ところが話はそれで終わりませんでした。定例の会議の後、私と役員は社長室に呼ばれました。机の上には
未処理の価格変更伝票の束がありました。なんとT商品部長が補填を拒否し300万円の欠損が出たというの
です。
私は上司の役員の許可を得た上で今回のことを進めました。当然、役員はT商品部長に処理を命じた
はずです。しかし私を毛嫌いしているT部長は、すべてNが勝手にやったこと、と社長に直接
話して300万のことなど知らない、と処理を断ったのでした。

社長は「2人でメーカーを回って300万集めてこい」と信じられない命令をしたのです。
役員は「じゃ、これから行こう」と逆らわず横に立つ私に言いました。

こんなバカげた話はありません。きちんと筋を通して仕事をした私は怒りに震えました。

しかし社長の命令です。私と役員は電車でフジの代理店のO写真用品、コニカのK商事、日本コダックと3社
を回り、正直に事情を話して頭を下げ、物乞いよろしく1社100万円を入金してくれるように頼み、3社
の了解を得ました。私は私を陥れようとするT部長の罠にはまったのでした。

私は各店のクレーム処理でたくさんのお客様に頭を下げお詫びしてきました。しかし会社の不手際なのに
無関係のお取引先にお金をもらうため頭を下げたときには、情けなくて涙が出ました。長い会社員生活で
一番の屈辱でした。商品部が仕入れて各店で不良在庫になっていたミニゲーム機をすべて処分して
完売したのは私だったのです。このときの悔しさは一生忘れません。