おバカ社員奮闘記 地区長編⑯

会議は踊る???

営業会議の朝、喫煙所で同僚と煙草を吸っていると後ろから肩を叩かれました。「おい、今日は
不規則発言するなよ」関東販売部のK部長でした。元々、営業会議は各地区のマネージャーが、
こうしたら売上が伸びた、という好事例や現場での問題点などを報告して情報を共有し、優秀な
本社スタッフに問題や課題を解決してもらう場だったはずです。ところが西友からK部長が転籍
してくると親しい地区長や本社の業務スタッフを子分にして、あらかじめ打ち合わせをした内容
を発言する「八百長会議」になっていました。私は社内で浮いた存在でしたから、一切のしがらみ
も無く好きなように発言していました。私の発言で会議が紛糾することがよくあり、K部長は
八百長を壊す私に朝から釘を刺したのです。

「○○店ではパート社員1名の契約時間を1日6時間から5時間に短縮して、月に△△円の人件費
を削減しました」西友から転籍してきたU地区長の発言に唖然としました。(おいおい、正気かよ、
社長以下、取締役、各部長、本社マネージャーが揃っている会議でそんなセコい話しかできねえ
のか?)と私は呆れ怒りを覚えました。地区長の報告はいつも私がトップバッターで、すでに
発言は終えていました。西友からきたUは口は達者ですが、販売現場の仕事ができず、そんな人物を私と同じ
地区長にした会社には失望していました。
翌週、報告トップの私は「□□店はもう6ヶ月以上、前年比150%の売上で現状の人員体制では
お客様を待たせることが多いため、今月より1名増員しました。これにより人件費はXX円増えますが、
さらに10%以上売上を伸長させることで吸収して、待ち時間の削減にも成功しました」人件費を
減らすことで社長は喜び、その意を受けたゴマスリ報告を私はブチ壊しました。会議の席は静まり
返り、K部長は私を睨んでいます。司会のK役員は私の目を見て、もうそれくらいにしてくれ、と無言
で訴えていました。一時は株式の上場を目指した歴とした株式会社の営業会議でこんな情けない発言
をしなければならないとは、、、。地区の約100人のスタッフを代表して会議に出ている私は
いつも好事例や問題点を洗いざらい報告していました。それが私の責任である、と思っていました。
仮にもマネージャー職にある者が、たとえ家族を養っていても四十面ぶら下げて、何が悲しくて
ゴマスリ発言に終始するのか?それが会社のためになると心から言えるのか?家来地区長達のバカ
げた報告を聞きながら(この会社はもうダメかもしれないな)私は心の中で会社の終焉を感じて
いました。1秒でも時間が惜しいほど多忙な私は水曜午前中に無駄な時間を過ごしていることを
後悔していました。