デジカメ修理の現状について

デジカメ修理の現状について

当店ではフィルムカメラだけではなく、デジカメの修理取次もしています。
そしてこのデジカメの修理に苦戦しています。とにかく「直らない」のです。
大変、困っています。
まず、メーカーの修理対応期間が終了しているデジカメはコンパクト機であればまず
直りません。
その理由はフィルムカメラと違って補修部品の数が絶対的に少ないことがあります。

デジカメは商品サイクルがとても早く、大体1年でモデルチェンジします。
フィルムカメラは5〜6年、長いものでは一眼レフで20年も作り続けられた機種も
ありました。1機種を長期間販売し、その販売数も多くなります。そのため長く部品が
修理屋さんに供給され、それが現在まで残っているため、今でも修理可能な機種が多く
あるのです。

対してデジカメは予め生産数を決めているので、モデルチェンジ前に終売となるケース
もあります。1機種の生産数が少なく、そのため補修部品の供給数も少ない、ということ
になります。

するとどういうことが起こるかというと、メーカーの修理が終了すると故障カメラは民間
の修理屋さん(メーカー修理認定店)に流れます。しかし修理屋さんが保有している部品
も少ないため、あっという間に修理が出来なくなってしまうのです。

デジカメの部品とは電子基板です。1台のデジカメは多数の電子基板の集合体です。そのた
め壊れている基板を交換するのがデジカメの修理です。

カメラによって壊れやすい基板もあり、その部品はすぐに無くなってしまいます。
一般的にカメラの心臓部ともいえるメイン基板は一番早く無くなってしまいます。

電気フィルムカメラ初期の単純な構成の基板なら、基板の修理が可能なケースもあります
が、デジカメのように大変複雑な構成の基板になると修理は不可能です。
そうなるとメーカー修理が終了しているカメラの場合、事実上カメラの修理は出来なく
なってしまいます。

直りやすいデジカメはありますか?

デジカメ修理で困難な順は、①コンパクト機 ②ミラーレス機 ③一眼レフ となります。

まずコンパクト機ですが、故障が多いのは、レンズユニット、次がメイン基板です。
レンズ先端のカバーが開閉しないという一見単純そうな故障でも、埃やゴミの除去で直る
ケースを除いてレンズユニット(電源スイッチを入れると前に出てくるレンズの筒の部分
全体)の故障になり、ユニットを丸ごと交換することになります。

電源ボタンを入れても作動しない、エラー表示が出てしまう、という場合は基板の故障
です。古い機種の場合はほぼ絶望的です。

まれにお客様から提案される、部品取りカメラからの移植修理ですが、お客様が部品取り
カメラを用意される場合、どうしてもやれ、と言われれば修理屋さんに頼んでしてもらい
ますが、2台分の分解が必要になり技術料が高額になること、また中古部品を使うため一切
保証が出来ないことからおすすめはしません。

ミラーレス機もコンパクト機と同様の事情です。
故障のほとんどは基板が壊れたことによるものです。商品サイクルが早いため、部品の残数
は少なく、メーカー修理が終了していると、とても厳しいのが現実です。

一眼レフは初期のカメラは販売期間が多少長く、修理屋さんにも部品が残っているケースが
あるため修理できる場合があります。当店ではニコンD80の修理が完成した経験があります。

よく売れたカメラなので修理屋さんに部品が残っていました。しかし3つの基板を交換した
ため、費用は5万円以上になりましたが。
逆に新しいカメラ(メーカー修理は終了)ほど修理が困難になっています。
これはやはり生産期間が短く、生産台数が限られているための影響といえると思います。

直しやすいメーカー、直しづらいメーカー

メーカーによる修理の難易度はあるようです。
一般的にカメラメーカーのカメラは直ることが可能なケースがあり、家電メーカーのカメラ
は修理か難しい傾向があります。しかしコンパクト機ではその差はないようです。

例えばニコン、キヤノンは令和の現在も修理認定店制度が生きており、メーカーによる修理
講習も行っていて、民間の修理屋さんも部品を持っていることが多いようです。

とくに高級機は修理屋さんもある程度、部品を仕入れていたため、メーカーの修理終了より
2〜3年は修理できるケースがあります。

続くのはペンタックス、リコー、そしてオリンパスです。ニコンやキヤノンのようにはいき
ませんが、修理完成の経験がかなりあります。

最後にフジですが、この会社はフィルムカメラ時代から自社修理のみの会社で、修理認定店
制度を持たなかったため、現在メーカー修理が終了するとほぼ絶望的です。

家電メーカー系のカメラは修理がとても困難です。

パナソニックはフィルムカメラ時代にカメラ生産に参入していたため、民間の修理屋さんに
部品を出しています。メーカー修理終了後、短期間なら修理屋さんで修理できる可能性があ
ります。
また、ソニーは完全メーカー修理の会社です。民間のごく一部の修理屋さんでは部品を仕入
れることができますが、修理対応期間が終了したらまず直らないとお考えください。

カメラの生産・販売からすでに撤退したメーカー、コニカミノルタ、京セラ、カシオ、日立、
サンヨーなどは修理不能です。
そしてケンコー、コダックなどのメーカーは民間の修理会社では扱っていませんので、
保証書記載の修理窓口へご連絡ください。

最後に修理料金ですが、デジカメはフィルムカメラに比べて高額になります。
それは部品を大きなユニットとして自動化して組み立てる方法になっているからです。

例えばメイン基板は修理屋さんに入ってくる原価で一万数千円か二万数千円します。
複数の基板が壊れている場合、数万円の修理料金になります。

デジカメも長く使っていると愛着が湧きます。けれど現状はフィルムカメラと比べてかなり
修理が困難であることをご理解ください。

当店ではできるだけのお手伝いをしますので、必ずお電話でご相談ください。