おバカ社員奮闘記 よもやま話⑦

優秀な本社スタッフ

S社長は母体の西友で行われていた「チェーンオペレーション」を当社でも実施しようと、部下に命令しました。「チェーンオペレーション」とは、どこの店でも棚の商品は並び方も陳列個数もすべて同じ、ひとつ売れればひとつ補充するだけ、店のスタッフは「バカでも」出来る、という仕組みです。そのかわり「棚」を作る本社の社員は優秀でなければなりません。
本社の作った「棚」によって売上が上下されるのですから。


西友フォートサービスでも現場の社員が本社に転勤することを「栄転」とされてきました。チェーン展開する小売店は有能な社員を本社に集めがちです。しかし私は販売現場のリーダーこそ有能な人物が務めるべきだ、と思っていました。店舗はそれぞれ、規模、立地、地域性、客層、その他すべて違います。その店の条件に合わせた売場を作り、売上を上げるのは、無能な社員ではできません。もちろん「全店」を考える本社スタッフは優秀である必要はありますが、店舗のリーダーも実力が必要だと思うのです。

困った店舗を助けてくれるのは?

毎週水曜日の営業会議では店舗現場で発生している様々な問題点を地区長が報告し、本社の部長やマネージャーが改善策を示します。

各店舗にミニラボが入り、グループ外店舗や路面店がどんどんオープンするようになると、問題点も増えていきます。新店オープンに伴う一番大きな問題は現場のマンパワー不足でした。会社の方針は、新店には正社員チーフは配置しない、パート社員で運営するというものでした。新採用者に対する教育のシステムも無く、地区の担当者としては本当に苦労しました。心ある本社のスタッフは「これでいいのか?」「本当にこれでいいのか?」と私たち現場の社員と認識を共有していました。しかし会社の経営方針が「店舗の人件費はできるだけ安く」では、本社の社員も臍を嚙むばかりだったでしょう。

扉が無く寒い路面店やインショップに、あたたかなジャンパーを支給してくれたのは本社スタッフです。路面店用のエプソンも作ってくれました。困っている店舗を助けてくれたのは、本社の皆さんでした。

みんなの力でオープン

新店のオープンは大変な作業です。当地区は時計、電卓など他地区では扱っていない商品がありますしPOPの製作は営業企画グループに依頼することになります。西友の改装オープンでは、西友のPOP室にポスターや値札を依頼しますが、新店ではすべての陳列物を本社に作ってもらうことになります。営業企画はYマネージャーと3人の女性スタッフの部署でしたが、作業量の多さは大変でした。オープン前の準備にも手伝いに来てくれました。

フィルム、使い切りカメラ、アルバム、フレームなどの商品の手配は商品部です。これも欠品が無いように準備するのは大変です。Hマネージャーがよく陳列に来てくれました。

備品の用意は人事総務部です。レジ、FAXなどの大物美品から、細かな事務用品すべてを総務担当者が揃えます。大抵、必要なものはきちんと用意されていました。

各部に連絡して、スケジュール進行するのは販売部の業務スタッフです。この部署が司令塔として機能しないと、開店までこぎつけるのは困難です。

このように新店オープンには、本社の多くの人が準備の仕事をしています。現場の責任者としては、すべて問題なく進行して開店できるよう気を配ります。本当に胃が痛くなるような仕事でしたが、
協力してくれた本社のスタッフの皆さんに感謝したいと思います。


本当に有能だったのは、部長やマネージャーではなく、その下で実務をしてくれたスタッフの皆さんだった、と言ったら皮肉が過ぎるでしょうか?