私の愛車遍歴６～その他の車たち～

●ボルボ1800ES

　有名な車です。ボルボアマゾンのエンジンを使いスタイリッシュなクーペボディの車、P1800を2ドアのステーションワゴンにしたのが1800ESです。車好きな方ならよくご存知だと思います。私はいのうえこーいちさんの本で知りました。写真とイラストだけを見て「なんてかっこいい車なんだ！」とひと目惚れして、「カーセンサー」で探しはじめました。西千葉店を拠点に千葉のエリアマネージャーをしていたころです。そのときいすゞフローリアンと117クーペの2台を所有していましたが、この1800ESが見つかればフローリアンは下取りに出してもいいな、とまで考えてしまったのです。朝7時に家を出て、帰ってくるのは夜中11、12時。1年のうち約350日は出動し、正月も元旦しか休んでいませんでした。あまりにも忙しくてわずかな休日も自宅で企画を作ったり、書類の作成をしていました。通勤と店舗巡回以外に車を使うことなど無いにもかかわらず、「欲しい車は買ってしまえ！」という異常な思考をしていました。多分、頭がどうかしていたのだと思います。狂った私は止まりません。県内に古いボルボを得意とする中古車屋さんがあると聞き、いちばん近い休日に見に行きました。見るからに怪しい店にアマゾンや240が10数台並んでいました。1800ESはありませんでしたが、店主と話すと在庫は無いが用意できる、とのこと。うまく口車に乗せられて予約してしまいました。私は完全にイカれていたのです。好みの色に塗ってくれるとのことで「ブリティッシュ・レージング・グリーン」を指定して待つこと2ヶ月、納車された1800ESはイメージと違うソリッドの緑でしたが、スタイルは抜群でうれしくて通勤にも使って乗りはじめました。リアはガラスハッチを開けて後席を倒すと広々とした空間が生まれます。店で使う大きなボードや看板を運ぶのに重宝しました。しかし蜜月は長くは続きませんでした。故障が多いのです。小はメーターが作動しなくなったり、大はギア鳴りするなど、中古車屋へのクレームを入れて入院する日が増えました。そんな中、1998年の夏に会社を退社することになりました。当時は春にエリアマネージャーを外され、船橋の店舗を事務所に路面店を開発する仕事をしていて、いよいよ今日が最終出勤日という日、1800ESに個人の資料ダンボール十数箱を積み込んで昼過ぎに店を出ました。国道の交差点で信号待ちをしていると、若い女性が窓をコンコンと叩きます。窓を開けると「すみません、何という車ですか？」と訊かれました。ミラーを見ると小さな男の子が後ろの車に乗っています。「スウェーデンの車でボルボ1800ESといいます。」と言うと女性は礼を言って自分の車に戻りました。この出来事は今でもはっきりと憶えています。その後も次々と故障して、最終的には走行中プロペラシャフト落ち長期入院中、なんと中古車屋が倒産したのです。車を取られたまま。数ヶ月後ようやく社長の携帯に連絡が取れましたが、車は戻ってきませんでした。社長は返金のかわりに何でも好きな車を用意する、と誓ってあやまり、次の車が私の元にやってきました。