私の愛車遍歴2 ~いすゞ117クーペ

<いすゞ117クーペ>

 巨匠ジウジアーロがデザインした名車中の名車、「いすゞ117クーペ」。高校生のころ内外出版社から出ていた「国産車オールガイド」なる本に載っていて、フローリアンとともに「いつかは乗ってみたい」と思っていた車でした。そのころはボディー手作りの「ハンドメイド」ではなく、最終型の☆☆(スター)シリーズ。80年代初頭、まだ新車で売っていました。就職してからまれに街で見る117クーペは本当にかっこよかった、ほしい!だけどフローリアンは気に入っているし…。丁度というか悪魔のタイミングで自宅近くの駐車場に空きを見つけた、これはもう買うしかない!安月給だけどなんとか2台維持できるだろう、と、「カーセンサー」で探すとえんじ色のXEがありました。
東京のどこの中古車屋さんで買ったか忘れましたが、値段も60万ほどで手頃でしたのですぐに購入しました。80年式のXE、5速です。別にDOHCのXEでなくてもよかったのですが、乗ってみるとパワステ付きでラクチン。エアコンも良く効いてとても運の良かった買物でした。フローリアンと117クーペの2台持ち。1日おきに北習志野店の通勤に使いました。この117クーペ、とにかく美しい車で、ななめ後ろから見るとそのきれいなボディーラインに見とれてしまいます。通勤経路の京成実籾駅の近くの通りにガラス張りのビルがあったのですが、信号待ちでその前に停まるとあまりの美しさに乗っている自分までハンサムボーイになったかのごとく錯覚してしまうほどでした。しかしこの車との蜜月は12月末の12時近い深夜、残業帰りの交差点で終わりを告げました。右折待ちでウインカーを出して止まっているところに新車のスカイラインに突っこまれたのです。酔っぱらいによる追突事故でした。虫の知らせか、追突される直前にルームミラーを見たので、ハンドルをしっかり握り、足を踏んばったので、私は軽度のムチウチで済みました。しかし117はトランクが無くなり全損、十字路の角にあった酒屋さんの公衆電話で110番した後、縁石に座ってパトカーを待っているとき、体の震えが止まりませんでした。歳末のフィルムワゴンセールの真っ最中でしたから、私は首にコルセットをつけて翌日からタクシーで店に行きました。車のほうは相手の保険屋と粘り強く交渉して、まったく同じ車を見つけて返してもらうことで結着しました。そうして保険屋が探してきたのが同じえんじ色のXE。ただしATでした。この車も程度が良く長く乗りました。
いすゞのDOHCエンジンはとにかくうるさいのですが、流麗なクーペにはオートマチックのほうが合いました。忙しく休みも少なかった日々でしたが、通勤以外でも休日にあちこち乗って行ったものです。手放してしまったことを今でも本当に残念に思っています。

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XE これはAT車のほうです。